授乳中の漢方薬の飲み方とは?
お母さんは出産だけでなく、産後の体調管理もとても大切です。
体調が悪いとき、授乳中に薬を飲んでもよいのでしょうか?
産後のお母さんのお悩みを解決します!!!
産後によくある8つの不調
①悪露(おろ)
産後1週間ぐらいには、悪露(おろ)と呼ばれる血が混ざったものが出ます。
これは胎盤や卵膜のはがれによりできた子宮の傷からの出血と、分泌物や粘液が混ざったものです。
日にちを追うごとに色や量などが変化していき、子宮の回復が順調かどうかの目安になります。
②産後うつ
産後は慣れない育児や環境変化による不安で精神的な疲れも溜まっていき、情緒不安定になりやすいです。症状としては、疲労感、イライラ、不眠、動悸、食欲低下などさまざまです。産後うつは放っておくと症状が悪化するので注意が必要です。
③乳腺炎、母乳の出が悪い
疲労やストレス、母乳の飲み残し、甘い物や脂っぽい物の食べすぎなどで、母乳が乳腺で詰まってしまい乳腺炎になることがあります。
胸がパンパンに腫れ、ひどい場合には発熱します。
初期は分泌過多の人に多く見られますが、いつどんな人でもなりうるので要注意です。
④生理不順
妊娠中は、妊娠を維持するために多くのホルモンが分泌されていました。しかし、出産を機にホルモンは減少します。これによりホルモンバランスが崩れ生理不順を引き起こします。
ホルモンバランスが安定していない産後の生理は、周期がまちまちで不安定な場合もあります。
⑤不眠
睡眠にはさまざまなホルモンの分泌がかかわっています。ホルモンバランスが乱れていると不眠を引き起こすこともあります。
⑥イライラ
ホルモンバランスが乱れると自律神経も乱れ、些細なことでもイライラしてしまうことがあります。育児疲れ、睡眠不足などで心にゆとりがなくなってしまうことも原因の一つです。
⑦肌荒れ
みずみずしい肌を維持するはたらきのある女性ホルモンのエストロゲンが減少すると、肌荒れやシワといった肌トラブルが起きやすくなります。
⑧髪のパサつきや抜け毛
産後の抜け毛、髪のパサつきなども、女性ホルモンのエストロゲンの減少がかかわっていると言われています。
授乳中に漢方薬を飲んでもよい?
授乳中の体はとてもデリケートです。
上記のような症状が出ている時はどんな漢方薬が効くのでしょうか?
薬の成分の授乳移行が少なく、赤ちゃんの健康に影響の少ない薬の選定など薬の服用には注意が必要です。
医療用漢方エキス製剤の中では、妊婦、産婦、授乳婦が飲んではいけない漢方薬は存在しません。
妊娠中や授乳中に漢方薬を処方された経験をお持ちの女性も多いと思います。
漢方薬、西洋薬を問わず、授乳中のお母さんが注意しなければならないのは、赤ちゃんが生後2ヶ月未満の時です。
生後間もない赤ちゃんの内蔵機能は未熟で、薬の成分をうまく解毒できず、体内の薬の濃度が上昇して副作用を起こす可能性があるといわれています。
一般的に、薬を内服して母乳中の薬の濃度が高くなるのは、2−3時間後と言われています。
薬を内服した直後は問題ありません。
もし、授乳の間隔が短い場合は、薬を内服する前に搾乳しておくことをお勧めしています。
授乳中の女性は、授乳や夜泣きによる寝不足などの育児ストレスなどで、胃腸が弱っていて、風邪を引きやすくなっている女性も多いと思います。
そんな時は漢方薬を飲んで早く体調を治したいですよね。
赤ちゃんへの影響が大きい時期なので、どんな薬を服用する場合でも必ずかかりつけの医師に相談しましょう。
産後の不調に効果的な漢方薬4選
●当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)
体力虚弱で、冷え症で貧血の傾向があり疲労しやすく、ときに下腹部痛、頭重、めまい、肩こり、耳鳴り、動悸などを訴えるものの次の諸症:月経不順、月経異常、月経痛、更年期障害、産前産後あるいは流産による障害(貧血、疲労倦怠、めまい、むくみ)、めまい・立ちくらみ、頭重、肩こり、腰痛、足腰の冷え症、しもやけ、むくみ、しみ、耳鳴りなどに効果があります。
●加味逍遙散(かみしょうようさん)
体力中等度以下で、のぼせ感があり、肩がこり、疲れやすく、精神不安やいらだちなどの精神神経症状、ときに便秘の傾向のあるものの次の諸症:冷え症、虚弱体質、月経不順、月経困難、更年期障害、血の道症、不眠症などに効果があります。
(注)「血の道症」とは、月経、妊娠、出産、産後、更年期など女性のホルモンの変動に伴って現れる精神不安やいらだちなどの精神神経症状および身体症状を指します。
●抑肝散加陳皮半夏(よくかんさんかちんぴはんげ)
体力中等度をめやすとして、やや消化器が弱く、神経がたかぶり、怒りやすい、イライラなどがあるものの次の諸症:神経症、不眠症、小児夜泣き、小児疳症(神経過敏)、更年期障害、血の道症、歯ぎしりなどに効果があります。
●桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)
比較的体力があり、ときに下腹部痛、肩こり、頭重、めまい、のぼせて足冷えなどを訴えるものの次の諸症:月経不順、月経異常、月経痛、更年期障害、血の道症、肩こり、めまい、頭重、打ち身(打撲症)、しもやけ、しみ、湿疹・皮膚炎、にきびなどに効果があります。
漢方薬は食前や食間など、胃の中が空っぽな空腹時の方が効果があるとされています。
体を冷やさないようぬるま湯で飲むのも良いかもしれません。
漢方薬は用法用量を守って正しく服用しましょう。
自分でできる産後ケア
●下半身を中心に体をあたためる
産後は代謝が落ちていることが多く、体が冷えやすい状態になっています。冷えは、さまざまな不調につながります。産後は湯船に浸かって体を温めることができないので、温かい飲物を飲みながら、足湯で体を温めるのがおすすめです。丈の長い靴下やレッグウォーマーなどを身につけるのもよいでしょう。
●体にやさしくて消化によい食事を摂る
産後は十分な水分と栄養が必要です。体に良いものをしっかり食べて体を労わり、妊娠中に落ちた体力を取り戻すようにしましょう。とくに、産後すぐはおかゆなど消化のよいものを選ぶほか、肉よりも魚、生野菜よりも温野菜や煮物などがおすすめです。
●スマホやパソコン、テレビは控えめに
目を使うことは思った以上に神経を使い、その分からだが休まりにくいです。とくに、液晶を通した光は刺激が強く目をとても疲れさせると言われています。目と神経を休ませるためにも、スマホやパソコン、テレビなどは必要最低限の使用に抑えるようにしましょう。
●家事は手抜きでほどほどに
少しずつ簡単な家事から始めて、からだを慣らしていきましょう。料理は温めるだけで食べられる冷凍保存をしたり、買い物は宅配を利用したりしましょう。家事代行を利用するのもおすすめです。とにかく無理せずゆっくり少しずつ、からだと相談しながら家事の範囲を広げていきましょう。
授乳が終わっても体の不調や、子育ての不安は抱え込まずに相談しよう♬
授乳が終わっても不調や不安があればすぐに周囲に相談しましょう。気軽に産婦人科の先生や薬剤師に相談するのもいいでしょう。一人で抱え込んだり放置したりすると産後うつになることもあるため、無理は禁物です。
出産や育児には自分だけではわからないことがたくさんあります。夫婦での話し合いや協力がとても大切になります。また、行政の窓口、地域の助産師さん、保育士さんも頼りになりますので、気軽に相談をするようにしましょう。