睡眠不足の人が肥満になりやすいのはなぜ?原因と対策

睡眠不足の人が肥満になりやすいのはなぜ?原因と対策
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「睡眠不足は肥満になりやすい」という話を耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか。起きている時間が長いほど、エネルギーを消費しているように感じる方も多くいます。しかし、睡眠不足は自律神経やホルモンバランスを乱し、消費エネルギーを低下させます。

 

この記事では、睡眠不足が肥満になりやすいといわれる原因と対策についてご紹介します。

 

1.原因①セロトニンの減少

睡眠不足は、ストレスなどを抑制するセロトニンの分泌量が減少します。セロトニンが減少すると、うつ状態を促進させるだけでなく、甘い食べ物を食べたくなるといわれています。甘い食べ物に含まれている糖質は、インスリンを分泌させて血糖値を上昇させます。

 

その際、セロトニンになる「トリプトファン」を脳内に取り込む手助けをします。その結果、睡眠で得られるセロトニンを代わりに生成できます。甘いものを食べると心が落ち着くといわれるのは、これが原因であるともいわれています。

 

しかし、甘いものを食べ続けると肥満は免れません。セロトニンが減少することは、肥満になる原因のひとつです。また、セロトニンが不足するとアルコールの摂取量が増えるともいわれています。アルコールには幸福感を得られる「オピオイド」が含まれているため、脳がこれを欲するようになります。

 

アルコールは肝臓で分解されますが、このときにトリプトファンが消費されます。上記で説明したように、トリプトファンはセロトニンに変化する物質です。アルコールを過剰摂取することで、さらにセロトニン不足が加速し、最悪の場合うつ病にまで発展する可能性があります。

 

睡眠不足は負のスパイラルが生まれやすく、肥満だけではなくうつ状態になるリスクをもっています。

 

2.原因②基礎代謝の低下

基礎代謝が悪いと、身体に取り入れた栄養を利用しづらいといったデメリットが生じます。カロリー消化が難しく、摂取カロリーよりも消費カロリーが上回りやすくなるといわれています。その結果、脂肪が燃えにくくなり肥満へとつながるのです。

 

ある研究では、短時間睡眠を続けることで活動時間が増加しても、基礎代謝の低下によって通常睡眠時よりも消費エネルギーが減少するという結果が出ています。短時間睡眠のなかで日中におよそ3時間程度の仮眠を入れることで、通常の睡眠時と変わらない消費エネルギー量になることが分かりました。

 

しかし、同じ消費エネルギー量なのに対し「食欲」は通常の睡眠時間より増すことも実証されました。これは、食欲抑制ホルモンの分泌量減少が関係しているとされています。このことから、睡眠不足では消費エネルギーが減少し、さらに食欲が増加するということが分かります。

 

3.肥満で起こる睡眠障害

睡眠不足は肥満になりやすいため、健康状態にも悪影響をもたらします。なかでも生活習慣病になりやすいといわれており、血圧の上昇や血糖値が高くなるなどのリスクをもたらします。また、肥満によって睡眠障害を引き起こすケースもあります。

 

肥満による睡眠障害のひとつに「睡眠時無呼吸」と呼ばれる、眠っている間に呼吸が停止する病気が存在します。とくに閉塞型睡眠時無呼吸症候群は、脂肪によって上気道が狭くなるといわれています。

 

その結果無呼吸やいびきが生じ、眠りの質を著しく下げる原因となります。しっかり睡眠時間を確保していたとしても、昼間起きているときに急な眠気に襲われることがあります。この症状を放っておくと、高血圧や糖尿病、メタボリックシンドロームなどの生活習慣病にかかりやすくなります。

 

4.睡眠不足の改善方法

睡眠不足を改善させるには、第一に睡眠時間を確保することが大切です。ハーバード公衆衛生大学院は、おおよそ7時間~8時間の睡眠時間より少ない睡眠を取っている方の多くが、肥満になりやすい傾向があると発表しています。

 

5時間以下の睡眠はとくに肥満になるリスクが上がるともいわれています。まずは睡眠時間の見直しから始めてみましょう。一方で睡眠を確保しすぎても肥満になるといわれています。おおよそ7時間程度を目安にして、自分に合った睡眠時間を確保しましょう。

 

自分に合った睡眠時間の見つけ方は、目が覚めたときにスッキリ起きられるか、食欲が正常であるか、日中の眠気が少ないかなどを参考にするとよいでしょう。また、睡眠時間以外にも適切な睡眠環境を確保することも大切です。

 

食事の時間を見直し、適度な運動を心がけ、睡眠前にアルコールやカフェインの摂取を避けます。また、眠る1時間前はスマートフォンなどの光を発するものを避け、薄暗い部屋でリラックスすることをおすすめします。

 

それでも眠れず、常に眠気が付きまとう方は一度適切な場所で相談しましょう。

 

5.まとめ

睡眠不足による身体の影響はさまざまにありますが、肥満になることもそのひとつです。ダイエットの敵であることはもちろんですが、肥満自体は生活習慣病のリスクをあわせもっているので注意しましょう。

 

睡眠不足を改善させるためには、自分にとってより良い睡眠時間を見つけることもひとつの手です。それでも改善されない場合は、一度「調剤薬局キューピー・ファーマシーグループ」にお気軽にご相談ください。

 

睡眠に関する病気や薬に詳しい薬剤師が、あなたに合った睡眠方法をご提案します。