漢方の効果はどんなものがある?漢方についての基礎知識

漢方の効果はどんなものがある?漢方についての基礎知識
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漢方は今では薬局でもよく販売されているほど身近なものになっています。最近では、テレビコマーシャルなどでも代謝を上げてダイエット効果を期待できる漢方まで販売されるようになっています。そんな漢方ですが、そもそも「漢方」とは何なのでしょうか? 市販の頭痛薬などの薬とは何がちがうのか、漢方に期待できる効果についてご紹介していきます。

 

1.漢方って何?

漢方は生薬を組み合わせることで体質改善を促すものです。漢方は東洋医学の考え方から生まれたものです。西洋医学では痛みを引き起こしている病気に対して治療を行います。

 

一方東洋医学では病気になってしまったその人がどうしてその病気を引き起こしてしまったのか、人を診察します。東洋医学では気血水といって気が弱まったことでうつ病を発症したのであれば気を補う漢方を処方します。一方、西洋医学ではうつ病であれば、うつ病の症状を抑える薬を処方するため病気をもとに考えて薬が処方されます。

 

したがって漢方は体質を改善することで病気にかからない体づくりをしていくものなのです。ちなみに漢方は東洋医学の針灸も含まれています。一方で漢方薬は漢方医学に基づくものなので区別されています。

 

2.漢方は日本人には合わない?

「漢方は中国の伝統医療なので日本の風土には合わないのではないか?」と考えている方もいます。しかし、日本に漢方が伝わったのはなんと5世紀であり、1500年以上前から日本に存在します。そのため漢方は日本独自の進化を遂げ、日本人にあった生薬が処方されるようになりました。日本の気候や日本人の体質に合わせて漢方は日本人に合った治療を行っています。中国にはない漢方も存在するため、漢方は今では日本人のための医療といっても過言ではありません。

 

例えば日本の漢方では経験的な手法を使って診断を行い、漢方を処方します。寒気がして肩こりがあり、頭痛がある、汗が出ないといった症状がある場合はおなじみの葛根湯が処方されます。西洋医学が日本に伝わっていない頃には感染症に対する漢方も多く処方されました。その長い経験をもとにして漢方が処方されています。

 

3.自分のための漢方

漢方では気血水という考え方と、証という考え方を行います。漢方は病気を診るのではなく、患者さん一人ひとりの体質を診ます。証というのは体力があるか、抵抗力がどれくらいあるか、どういう体格をしているかという、その人の状態を表します。したがって女性であれば出産前は痩せ型だったのが産後に太ってしまった場合、同じ冷え性でも処方される漢方の種類が異なってきます。

 

男性、女性でも証はちがいます。証はいろんな分類がありますが、虚実という診断があります。体力がなく、痩せ型で冷え性、胃腸が弱いという体質を虚証と呼び、逆に体力があって体格がしっかりして、胃腸は強いものの便秘になりがちな方を実証と診断します。葛根湯は風邪のときに処方される誰もが知っている漢方ではありますが、実証の方に使われます。葛根湯が合わなくて下痢になってしまう方は虚証の可能性があります。

 

また気血水は不調を診断するもので、気は生命エネルギーを、血は血液循環を、水は体の体液すべてを表します。生理痛がひどいと、血に何かトラブルがあるため、血を改善するための漢方が処方されます。

 

これらの診断をするために望診、聞診、問診、切診という診断を行います。西洋医学では血液検査、画像検査などを行いますが、漢方では人を診ることでその人に合った漢方を処方します。

 

4.「漢方は効果がない」は嘘

漢方なんて効果がないと考えている方もいるかもしれませんが、それは違います。漢方は今では科学的根拠が証明されているものもあります。西洋医学では高血圧であれば血圧を下げる薬、糖尿病であれば血糖値を下げる薬が処方されます。西洋医学は症状を抑える分野の疾患に関しては効果を発揮します。しかし、西洋医学では診断がつきにくい、いわゆる「不定愁訴」と呼ばれる症状には東洋医学の方が有効な効果が期待できることが多いです。

 

例えばなんとなく体がだるいので病院に行っても特に特別な症状がないので風邪薬を処方されて回復を待ちます。それでもなんとなく体がだるいので、いろんな病院に行って体調がいまいちすぐれないまま過ごす方も多いです。漢方では不定愁訴において、患者さんが訴える症状と診察を行います。西洋医学ではわからない症状を漢方で解決することができます。実は漢方は医師の83.8%以上が処方していることが2012年の漢方使用実態・意識調査でわかっています。

 

ですから、なかなか解決しない症状があるのであればぜひ漢方を使用してみましょう。

 

5.まとめ

漢方は効果がないということはなく、今では科学的根拠が示された漢方もあります。特に西洋医学では診断が難しい「不定愁訴」において漢方は効果を発揮することが認められています。漢方は一人ひとりの体質によって処方されることで体質を改善していくことができます。

 

「調剤薬局キューピー・ファーマシーグループ」では、漢方に関するご相談も承っております。病気ではないのに体調がすぐれないという方は、ぜひ一度ご相談ください。