古くから体内改善や医療現場で親しまれてきた漢方薬。その種類はさまざまですが、中には使用方法を注意しなければならないものもあります。
そこで今回は、「副作用はあるのか」「自分は使用しても大丈夫なのか」と不安に思う方のために「甘草」について詳しくご紹介します。具体的な症状に合わせた使用方法なども載せていきます。ぜひ参考にしてください。
1.甘草とは?
漢方薬には、西洋薬ではカバーできない抽象的な体調不良などを改善させる働きをもっています。そして甘草とは、甘草湯(かんぞうとう)とも呼ばれる漢方製剤のひとつです。
その味は字の通りとても甘く、砂糖の50倍とも言われるほどです。漢方ではもちろん、食物やキャンディーなどにも使用されることもしばしばあります。
では、そんな甘草にはどのような歴史的背景や効能があるのでしょうか。この項目では、甘草の歴史から作用などの基礎知識をご紹介します。
1-1.歴史
漢方の伝来はおおよそ6世紀と言われていますが、甘草は漢方薬の中でも古くからさまざまな症例に用いられその力を発揮してきました。そして、世界的にその価値は高く、エジプトや中国などからも重宝されていた薬だと言われています。
日本では、山梨にて甘草を栽培していた屋敷が見つかっており、江戸時代から甘草がとても重要なものであると言い伝えられてきました。
1-2.効果や作用
甘草は、のどや胃、肝臓などの痛みや、関節痛、けいれんする痛みなどを和らげる効果を持っています。簡単に言えば、痛み止めと言って良いでしょう。その特徴は、個人の体質には関係なく服用が可能という点です。お湯に溶かしゆっくりと飲み進め、3〜5回分程度続けることで少しずつ効果が期待できるでしょう。
1-3.主に用いられている症例
甘草を含んだ漢方には、以下のような状態での使用が適切といえます。
・さまざまな部分の急性的な痛み
・こむら返り
・胃痛や月経痛など
場合によっては長期的な利用が必要になる場合もありますが、症例から見て急性的な痛みに対応する漢方だと言えます。自分の意思で長く服用したり、多くの量を摂取したりすることは止めましょう。
2.服用の際の注意点
いくら効能に即効性がかけると言われる漢方薬にも、多少の副作用や服用前における注意事項がいくつかあります。漢方に少し詳しい方は、甘草の使用には注意したいと感じる方も多いのではないでしょうか。この項目では、そんな甘草を含んだ漢方薬の注意点について深く掘り下げていきます。
2-1.服用前の確認事項
漢方薬には副作用がないと言われることも少なくありませんが、実際はその人の持病や症例によって多少の副作用が伴う場合もあります。そして、状況によってはその病気の進行を進めてしまう可能性もあるのです。
以下に当てはまる方は、甘草を含む漢方薬の服用に適していません。
・アルドステロン症を患っている方
・高血圧の方
・心臓病にかかったことがある方、またその危険性がある方
このような方が服用した場合は、重い副作用を伴う場合があるので細心の注意が必要です。
また、軽い副作用としてむくみや血圧の上昇などが報告されています。長期的に服用する場合は自分の体の変化に敏感になり、このような症状を感じた場合はすぐに医師に相談しましょう。高血圧などは心臓に負担をかける場合もあります。
2-2.用量
上記の項目を見て、甘草に関して少し不信感を持ってしまった方も多いのではないでしょうか。しかし、漢方の製剤の7割には甘草が含まれています。自分では気づいていなくても、過去に甘草を体内に含んだことのある方は多いでしょう。
全ての漢方薬や薬には使用量が決められており、医師の指示なしにそれらを変更してはなりません。甘草の場合、成人(15歳)に対し1日における摂取量の上限は7.5グラムと言われています。しかし、これは個人の身長や体重によって異なる場合もしばしばあるので、服用前には専門のプロのアドバイスを聞く必要があります。
自分の身を守るためにも、それぞれの漢方薬の副作用をしっかりと理解して服用を始めましょう。不安のある方は、医師や薬剤師に必ず相談することが大切です。
3.まとめ
今回は、漢方の「甘草」について詳しくご紹介しました。他の漢方薬と比較して、注意すべき点が多く不安に感じた方も多かったのではないでしょうか。漢方薬であっても、その用途や用量を誤ってしまっては大きな事故を引き起こしかねません。
そのため、ひとりひとりが正しい知識を持ち漢方を服用することが非常に大切です。しかし、どのような薬であっても、決められた用途を守りながらの服用は安全で体の状態を改善してくれます。
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