漢方と飲酒について…お酒との飲み合わせの注意点を解説

漢方と飲酒について…お酒との飲み合わせの注意点を解説
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皆さんは漢方薬を服用したことがあるでしょうか?名前だけは聞いた事がある、ドラッグストアで売っているのは見たことがある、など身近な存在であるものの、服用したことのある方は少ないのではないでしょうか?

今回は漢方薬について、通常の内服薬の違いなどを含めてご説明させていただきます。

 

1.漢方薬と西洋薬の違い

まず、皆さんが病院などで処方される抗生物質や鎮痛剤などの内服薬と、漢方薬について大きな違いをご説明します。

 

病院にて処方される内服薬は、体に入り込んだ菌を殺して症状を和らげたり、体の炎症している部分を鎮めたりして痛みを和らげたりと、その症状に合わせてピンポイントに作用する働きをしています。一方の漢方薬とは、免疫を強くして病気になりにくい体を作ったり、精神面に作用したりと、未然に防いだり症状が起こりにくい体つくりを行う働きをします。

 

よくサプリメントなどの健康食品と同類だと思う方もいらっしゃいますが、サプリメントなどとは違い、医学面でもしっかりした薬と言う分類付けをさせるものになります。通常の内服薬は主に化学物質などを精製したり、飲みやすいように添加物を融合したりして作られますが、漢方薬は、自然界に存在する植物や鉱物などの中から薬効を持つ物を複数組み合わせて作られます。このように製造法からして違いがあり、よく漢方薬と西洋薬と分類されることもあります。ただし、どちらも病気や疾患を『治す』と言うものではなく、改善や和らげるという役割を果たすものになります。

 

2.お酒との飲み合わせ

次に、薬の飲み合わせについてご説明します。通常の西洋薬と呼ばれる処方薬や市販の風邪薬などは薬の飲み合わせにより重大な副作用などが起こる可能性も大きくあります。

 

薬の注意事項にも必ず記載がありますが、お酒とともに服用することにより化学成分が過剰に反応し効果を強くしてしまったり、他の服用薬の影響で違った作用をする薬も存在します。ですが漢方薬は、西洋薬との飲み合わせやお酒との飲み合わせにも強い一面があり、お医者様でも、西洋薬と漢方薬を両方処方されるお医者様が多くいらっしゃいます。

 

鎮痛剤や解熱剤など、通常の内服薬をお酒と一緒に服用すると、胃が荒れたり、動機、効果の過剰発揮により意識消失や呼吸困難など最悪の場合は死に至る可能性もあるため、絶対に厳禁とされている一方、漢方薬は前記した様に飲み合わせに強く、お酒と一緒に服用することで効果を高めたりと言う一面もあります。

 

一例をあげますと、『当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)』と言う漢方薬は、女性の月経不順や貧血など、女性の血の道症などに効果があるのですが、中に含まれる『当帰(とうき)』という生薬が人によって胃もたれなどを起こす事があります。それをお酒と一緒に服用することで防いでくれる効果があります。これを漢方薬の古典では『酒服(しゅふく)』と言い、お酒で飲むと良い漢方とされています。

 

また、二日酔いに効く漢方薬やお酒を飲みすぎた時などに服用する漢方薬もあります。漢方薬の有名メーカーのホームページにも、漢方薬を服用する際に飲酒に関する注意点はございませんと記載するほど、漢方薬はお酒との飲み合わせに強い一面を持っています。

 

3.副作用

では、漢方薬の方が自然の生薬を使用しているし、お酒と一緒に飲んでも大丈夫なら漢方薬を多く服用したほうがいいのではと思われるかもしれませんが、漢方薬にも副作用があるものもありますし、中にはお酒と服用しないほうがいい漢方薬も存在します。

 

副作用の部分では、血圧の上昇・食欲不振・動悸など、漢方薬特有の生薬により副作用を起こす事例もあります。飲酒との関係では、アルコールの影響により生薬の効果が強く現れてしまったりと、必ずしもお酒と服用して大丈夫と言うことは言い切れません。

 

また、飲酒と言っても、晩酌程度や付き合いのために軽くいっぱい程度の飲酒をした時の服用であって、泥酔するほど飲酒してしまったときは漢方薬と言えども服用するのは避けたほうがいいでしょう。また、漢方薬を服用するときは、体の疾患や心配事を改善したい方が服用することがほとんどだと思います。飲酒によりその疾患や心配事が悪化してしまうケースもありますので、漢方薬はお酒を飲んでる時でも気にせず服用できるという認識を持たないように注意してください。

 

4.まとめ

このように、漢方薬は西洋薬に比べ、お酒とともに服用することへの注意点が少ないと言える薬ですが、必ずしもお酒と一緒に服用したほうがいいとは言えず、あくまで、飲み合わせやお酒との服用に強い一面を持ち、中にはお酒を飲んだほうが効果を発揮したり、副作用を抑えることがあるのが漢方薬。と言う認識でいたほうがいいでしょう。

 

前記したように漢方薬は、西洋薬とは違い、未然にふさいだり、改善させるような体づくりをする薬になり、長期間服用することや、服用を継続することが大事になります。多少のお酒を飲んでしまっても服用できますが、あまりに深酒をしてしまったときは服用を避けましょう。

 

また、すべての漢方薬がお酒と一緒に服用できるものだという認識はしないでください。必ず処方をした医師に判断を仰ぐことも大事ですし、市販の漢方薬も用法をしっかり確認して服用することが大事です。漢方薬の正しい飲み方についてわからないことがあれば、「調剤薬局キューピー・ファーマシーグループ」までご連絡ください。