サプリによって栄養素を摂取する際に、最も重要なのが『吸収率』です。サプリごとに決められた適正量を守って取り入れたとしても、吸収率が異なることで身体にプラスされる栄養素に差が生まれてしまうのです。そこで今回はサプリの吸収率について、所要時間や吸収率を上げる方法などご紹介いたします。
1.吸収率とは
吸収率というのは、摂取したサプリに含まれる栄養素がどれだけ体内に吸収されたのかを示す数値のことです。錠剤などのサプリメントを飲むことによって、あたかも栄養素は100%体内に吸収されるものだと思ってしまいがちですが、実際にはそうではありません。同じサプリだとしても、吸収率によっては取り入れられる栄養素の量が少なくなってしまう恐れもあるのです。せっかく不足している栄養を補うために飲んでいるのですから、最大限に吸収しなければなりません。
あまり知られていないかもしれませんが、『バイオアベイラビリティ(bioavailability)』という言葉があります。日本語では生物学的利用能というのですが、いわゆる吸収率のことを指しているのです。吸収率を摂取量で割ったときの数値をパーセンテージで表すもので、バイオアベイラビリティが高いほど吸収率が高いことを示しています。
基本的に人間が摂取する栄養素のほとんどは、吸収されることなく便として排出されてしまいますので、いかにして多く吸収するかが鍵となるのです。原材料によってバイオアベイラビリティは変わってくるため、栄養素だけでなく原材料がどういったものなのかということにも気を配るといいでしょう。
2.最適なタイミング
サプリの栄養素を効率的に摂取する上で、まず欠かせないのが『飲むタイミング』です。サプリは薬とは違い、食前や食後30分以内などのように飲むタイミングが決められているわけではありません。あくまでも食品という扱いですので、好きなタイミングで飲んでよいのです。そのため、朝起きたら歯磨きなどの身支度の流れで飲むという方もいれば、夕方や夜に帰宅してから飲むという方もいますし、就寝前のルーティーンとして飲んでいる方もいます。しかし、タイミングによって吸収率は変わります。
どの栄養素のサプリなのかによって最適な飲むタイミングは異なりますので、まずはご自身が摂取したい、あるいは摂取しているサプリのタイミングを把握することが大切です。
2-1.コラーゲン
一般的には22~深夜2時に関してはお肌のゴールデンタイムと言われておりますので、お肌に対して効果的であるコラーゲンの摂取に最適なタイミングは就寝前といえるでしょう。成長ホルモンの分泌やお肌を休ませている間にコラーゲンを体内に吸収させるようなイメージです。
2-2.ビタミンA・E
ビタミンAやEは脂に溶けるという性質を持つ脂溶性ビタミンに分類されています。そのため、飲む頻度としては1日に1回だけで十分ですが、タイミングとしては脂質を含む食事をしたあとが最適といえます。食事に含まれる脂質に反応して栄養素が溶け出し、腸内で吸収されやすくするというわけです。
2-3.ビタミンB・C
ビタミンBやCに関しては水溶性ビタミンと呼ばれており、水に溶けやすいという性質を持っています。そのため、摂取してから数時間ほどで尿などとして排出されやすいので、数時間おきに摂取する必要があります。どうしても分けて摂取することが難しいという場合には、寝ている状態ではビタミンの排出がされにくいので就寝前がおすすめです。
2-4.アミノ酸
アミノ酸は脂肪を燃焼させることで、筋肉の疲労を解消するという効果が期待できるものですので、運動をする前後30分というのが最適な摂取タイミングといえます。ただし、タンパク質と一緒に摂取するとアミノ酸は吸収の優先度が下がってしまうため気をつけましょう。
3.吸収率を挙げる方法
サプリの栄養素の吸収率を上げる方法ですが、飲むサプリを組み合わせることによって実現が可能です。たとえばビタミンの場合、アミノ酸と同時に摂取することで吸収率が高くなるのです。これはアミノ酸の代謝に不可欠な成分としてビタミンが含まれているためで、さらにカルシウムもあわせると吸収率がぐんと高まるのです。
ただし、注意しなければならないのは成分の重複です。複数のサプリを同時に摂取した場合に、どちらのサプリにも含まれている栄養素があったとしたら、その栄養素はそのほかよりも多く摂取してしまうことになりますので、複合型サプリの場合は特にあらかじめ含まれている栄養素をチェックしておくようにしましょう。
4.注意しなければならないこと
吸収率を挙げることだけを考えた場合に、注意しなければならないこととして『過剰摂取』が挙げられます。吸収率と摂取量は比例しませんので、多くの量を飲むことで吸収率もその分上がるというわけではありません。栄養素の吸収率には限度がありますので、過剰摂取は副作用などの問題を引き起こすことはあっても、吸収率に貢献することはないということに注意しましょう。
また、飲むサプリの組み合わせによってはかえって吸収率が下がってしまうケースも存在します。ビタミンと食物繊維系の栄養素の組み合わせが代表的な例で、ビタミンが食物繊維に吸い取られてしまうので、腸内での吸収率は下がってしまいます。食物繊維に関してはタンパク質もビタミンと同様に吸い取ってしまいますので、少なくともそれぞれの摂取時間を1時間以上はずらす必要があるでしょう。
5.まとめ
サプリの栄養素を最大限に吸収するためには、飲むタイミングを見極めるということと、飲む組み合わせを考えることが重要です。せっかく摂取する以上は少しでも多くの栄養素を吸収すべきですので、しっかりと組み立てた上で飲むようにしましょう。
「調剤薬局キューピー・ファーマシーグループ」では、サプリの摂取に関してアドバイスや相談に応じておりますので、疑問などがあればお気軽にご相談ください。