鏡を見ると、なんだか肌がガサガサしている。化粧水や美容液で保湿をしているにもかかわらず、化粧のノリがなんだか悪い。ストレスや睡眠不足で、肌が荒れている気がする…。特に冬場は、空気の乾燥やエアコンの使用もあって、肌のトラブルを抱えがちです。そんなとき、漢方を生活の中に取り入れてみませんか。
なんだかややこしそう、自分に合った漢方がわからない、といった心配はありません。原因とおすすめの対処法をご紹介します。
1.漢方とは
漢方とは、もともと中国から伝わる伝統医学です。5~6世紀頃に日本に伝わり、気候や風土、日本人の気質に合わせて、日本で独自の発展を遂げてきました。17世紀頃から【漢方】という言葉が使われ始めましたが、これは西洋(オランダ)から伝わってきた医学や薬学を【蘭方】と言うのに対して生まれた言葉です。
西洋医学は、病気というものに対して、直接的にどう対処するか、という考え方がメインですが、漢方は【病気ではなく病人をみる】という立場をとります。頭痛がする、お腹の調子が悪い、といった症状が出たときに、頭やお腹だけを見るのではありません。一部分のみで症状を判断するのではなく、体全体のバランスを見直す、生活習慣を改善していく、体質を整える、といったアプローチをしていきます。
つまり、病気そのものと対峙するのではなく、体全体のひずみやゆがみを元に戻し、体が正常なはたらきができる状態にもっていくことを目指す総合治療が漢方です。そのため、自覚症状がとても大切で、個々人に対応するので、バリエーションも多くあります。また、飲んですぐ効き目のある漢方と、飲み続けることで効き目のある漢方があります。
2.肌トラブルの原因
冬場は特に、肌荒れが気になります。しかし、ひとまとめに肌荒れといっても症状は様々です。肌全体と体全体を見てチェックしてから、肌トラブルに対処していきます。まずは肌トラブルの原因を見ていきます。
2-1.乾燥·紫外線
秋冬は空気が乾燥しやすく、また風も強いため、肌が受けるダメージは計り知れません。室内のエアコンも肌に大きな影響を与えます。また、夏場はしっかりと行う紫外線対策ですが、秋冬の紫外線も大敵。ついつい簡単にすましがちですが、紫外線は0ではありません。
2-2.体が冷える·寒い
体の冷えをちょっとした不調と思いがちですが、漢方では冷えは万病のもとといわれています。血行が悪くなることで代謝も悪くなり、肌への影響もあらわれます。
また、冬は足が冷えて寝つけないといった人も多いことでしょう。体の冷えによって、眠りが浅かったり、眠りの質が悪くなり、睡眠不足になりやすいのです。体調良く過ごすには、しっかり眠ってエネルギーである「気」をためることが重要です。しかし身体の冷えによって邪魔され、代謝がうまくいかないと、肌荒れも起こります。睡眠不足も、肌荒れの大きな原因のひとつです。
2-3.ストレス
漢方では、ストレスは気の流れを悪くするものといわれています。ストレスによってあらわれる症状は、その人の持つ体の弱い部分に出やすいといわれていますが、肌荒れもそのひとつです。かゆみや肌の赤みも、気の流れがよどむことによって、発生するものと考えられます。特に秋冬は空気が乾燥することもあり、症状が強く出やすくなります。
2-4.食べすぎ·飲みすぎ
油や糖分、塩分の多い食事が続いたり、お酒を飲む日が続くと、胃腸に負担がかかります。また、辛いものやコーヒー、タバコといった刺激物も胃腸に影響を与えます。胃腸は、漢方では【脾胃】と呼ばれ、「気」を作り出す場所として大事にされています。胃腸のはたらきが衰えることで、血行が悪くなり、自律神経のバランスが乱れて、肌荒れを招いてしまいます。
3.おすすめの漢方を紹介します
このように、肌荒れと一口にいっても、原因はさまざまあり、これらが絡み合っている場合も多くあります。また、人それぞれに肌荒れの状況も異なってきます。次は、肌トラブルごとのおすすめの漢方をご紹介します。
3-1.乾燥がひどい·カサカサする·かゆみがある → 当帰飲子(とうきいんし)
漢方では【血虚】といいますが、血が不足することで、皮膚が乾燥すると考えられています。「四物湯(シモツトウ)」という生薬は血を補給する働きがあり、当帰飲子は「四物湯」を配合しています。服用することで肌に栄養を与え、乾燥を防ぎます。また、かゆみを抑える生薬も配合しています。
3-2.肌のキメが荒い → ヨクイニン
ヨクイニンとはハト麦の皮を取り除いたあとの種子部分です。体内の水分調整を行い、体の内部にたまっている余分な老廃物を排出します。それによって、肌に水分が適切にいきわたるようになり、きめ細やかな肌に整えます。
3-3.ニキビやシミができる → 桂枝茯苓丸料加薏苡仁(けいしぶくりょうがんかよくいにん)
漢方では、ニキビなどの皮膚の炎症は、熱を持っていると考えられています。熱がこもることで、吹き出物や肌荒れになるのです。桂枝茯苓丸料加薏苡仁にはこの熱をおさえ、血行を良くすることで、肌荒れを落ち着かせる効果があります。また、手足の冷えの緩和にも効果があります。
4.まとめ
漢方で適切なケアを行うことで、肌の美しさを手に入れ、同時に体内バランスも整えることができます。漢方は、自分の肌に優しくありたい、そしてなにより自分を大切にしたい、という気持ちに応えるものです。
漢方を取り入れることはなにも難しいことではありませんが、その人に合ったものを使ってこそ、効果が期待できます。漢方に詳しい医師とコミュニケーションをとりながら、どんなものを取り入れたらいいのかを決めていくことが重要です。自分に最適な漢方のご相談なら、「調剤薬局キューピー・ファーマシーグループ」へお越しください。ひとりひとりに合った漢方を、処方しています。